SPF豚と無菌豚の違い

無菌豚やSPF豚という豚肉を見たことはありませんか?最近はスーパーなどでもSPFの表示をみかけることも多くなってきました。SPF豚は無菌の豚だというようなイメージを持っている人もいると思いますが、一般的にあまり詳しく説明してあるところは少ないので、無菌豚とSPF豚の違いが良くわかりませんよね。また、SPF豚といわれると、銘柄豚や品種の一つのようなイメージもあります。無菌豚とはどんな豚なのか。SPF豚とはどんな豚なのか、豚肉を正しく安心して食べるためにも把握しておきましょう。

SPF豚と無菌豚の違い

SPF豚と無菌豚は同じものであるように記載されていることが多くあります。そのためSPF豚は無菌豚とは違うものだということを知らない人も多く誤解されたままであることが多いようです。

SPF豚とは

SPF豚と呼ばれている豚や豚肉は、豚がかかり易いいくつかの病気の原因を持たないように、育てられた豚の呼び方です。つまり、「決められた基準に従った飼育方法で育てられた豚」ということなので、品種などではありません。SPF豚ははじめに妊娠した母豚から子宮ごと子豚を取り出し、母豚や周りの環境にある特定の病気の原因となるものに接触しないまま、殺菌された無菌の場所で育てられます。この母豚から取り出したはじめのSPF豚を「プライマリー豚」と呼びます。殺菌された飼育環境で育てられているSPF豚は、与えられる飼料も殺菌された水や飼料で飼育されます。そのため、SPF豚の体内には悪玉より善玉菌の方が多く、健康的に育てられている豚ということになります。こうして育てられたプライマリー豚は特定の菌を持っていないため、無菌状態の場所の中でSPF豚同士を繁殖させ、新たなSPF豚を自然分娩で出産することができます。プライマリー豚から産まれた新たなSPF豚は、「セカンダリー豚」と呼ばれSPF豚として無菌状態の飼育環境で同じように育てられます。SPF豚が飼育されている養豚牧場や農家では、殺菌された環境を維持することで、セカンダリー豚を交配させてSPF豚を生産しています。SPF豚を飼育できる環境であるとの認定を受けた養豚農家・牧場でしかSPF豚を生産することはできません。また、無菌状態で出産・飼育されているため「無菌豚」といわれることがありますが、豚の体内には善玉菌はもちろんいますし、特定の病気の原因となる菌のみを持たない豚と考えるのがSPF豚の正しい認識でしょう。

無菌豚とは

無菌豚はSPF豚とはまったく異なった豚です。一般的に食肉用としてしいくされている豚は、無菌の飼育環境で育てられているといっても無菌の豚というわけではありません。SPF豚が無菌の飼育環境と殺菌された餌で育つために「無菌豚」として呼ばれたり、SPF豚は無菌豚だから生でも食べられる、などの誤解されていることもあります。無菌豚は「Grrm ftee pig」と呼ばれる豚のことで、「Specific Pathogen Free pig」の略で呼ばれているSPF豚とは違う豚です。食肉用の豚肉で「無菌豚」の記載や表示は混乱や誤解を招くため飼養しないほうがいいのではないかとも言われていますが、SPF豚の飼育方法が利用されるようになった当初に「Specific Pathogen Free pig」の意味が適切に消費者に伝わらなかったことで、無菌豚としての認識が広まってしまったのではないかとも考えられます。SPF豚のE型肝炎などが起こる可能性は十分にあると考えたほうが良いと思います。そのため、「Grrm ftee pig」と呼ばれる無菌豚は食肉用の豚ではまず存在しないといえるのではないでしょうか。

SPF豚の特徴

SPF豚と無菌豚が違う豚であることがわかりましたが、SPF豚にはどういった特徴があるのでしょうか。

SPF豚として扱われる豚

SPF豚は、特定の病気の原因となるものには一切接触せずに飼育されていますので、特定の病気はもちろん、他の病気にもかかりにくく、必要なワクチンや抗生物質の投与も少ないため、健康的で免疫力の高い豚として育つと考えられています。SPF豚に飼養される必要なワクチンや薬には使われる量にも基準が設けられているため、それ以上使用しなければならない場合や、規定外の料を使用した場合は、SPF豚として扱われることができなくなります。もちろんSPF豚は特定の病気の原因になるものを持たないことが前提ですから、SPF豚が持たないとされる特定の病気にかかった場合や菌が見つかった場合にも、SPF豚としてではなく一般的な豚として扱われることになります。

SPF豚の肉質

SPF豚は殺菌された衛生的で快適な環境で育てられるため、豚肉にも臭みがつきにくいようです。抗生物質やワクチンなども最小限でしか使われないことに加え、病気になることも少ないので肉質がやわらかくくなるという特徴も見られます。しかし、SPF豚として育てられる豚の品種が決まっているわけではないので、SPF豚の中でも品種による肉質の違いがあります。また、SPF豚が無菌豚であるとの認識が強く、生で食べられる豚肉だと勘違いしてしまっている人もいますが、SPF豚は決して生で食べられる豚肉という意味ではありませんので、適切な調理方法で豚肉の料理を作ることが大切です。


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