豚の餌

豚は何でも食べるということから、昔は人間の食べ物の残りなどを利用して民家の庭先で飼育されていることもありました。しかし、豚肉の肉質や香りには、豚が食べている餌が大きくかかわってくるといわれています。銘柄豚の中には、どんぐりを食べて育った豚やりんご・サツマイモといった地域色の強いものを餌として使用しているのも見かけます。豚の餌として使われるものには、どんなものがあるのでしょうか? また、豚の餌の種類によって豚肉の味や香りはどの様に変化するのでしょうか。

豚が食べる餌について

豚は人間と同じような雑食性の生き物です。消化器官のつくりから見るとちょうど肉食動物と草食動物の中間のようなつくりをしていることからも、豚が様々なものを食べる動物だということがわかります。国内で飼育されている豚には、豚肉になる食用の豚とそのために繁殖に利用される豚、またペット用や観光用といった食用の豚ではないものに分けることができます。

一般的な養豚農家が与える豚の餌

国内の多くの養豚場や農家では、飼料基準に従った配合と分量で作られた豚用の飼料を豚の餌として与えています。こういった餌には、穀物・ぬか類・油粕のような栄養成分の多い「濃厚飼料(ノウコウシリョウ)」と根菜類・青草・牧草など食物繊維が多く含まれている「粗飼料(ソシリョウ)」があります。これらの餌は、飼料基準を参考にしながら必要に応じて配合して与えます。飼料標準は、豚の成長段階や繁殖用の豚の状態に合わせて適切に必要な量な栄養を与えられるように規準とするための数値です。それぞれの豚に必要な栄養分は、豚の体重や年齢によっても違ってくるため細かい栄養管理が必要となります。そのほかにも、ミネラルやビタミンなどを加える場合もあります。なんでも食べると思われがちな豚ですが、豚の嗅覚は非常に優れていて、餌の香りにも敏感に反応します。配合飼料など豚の餌の香りが、豚の好みに合うものと合わないものでは食欲にも差が出てしまいます。そのため豚の餌に使われる材料の組み合わせには、かかる時間やコスト、保存性などのほかに豚の嗜好性にも配慮した餌作りが必要となります。そのため、欧米では豚の餌に豚の好む香りを付けるフレーバーなども作られているそうです。

ペット用の豚の餌いついて

ペット用に飼育される豚は、食肉用の豚とは品種の違い、「ミニ豚(ミニブタ)」と呼ばれる豚が多いようです。成長したときの体重も食肉用の豚の1/2〜1/3程度で、ペットとして飼われるので、飼育される期間も長いのが特徴です。そのため、食肉用の豚と同じ餌を与えてしまうと、栄養を取りすぎてしまい太りすぎや病気の原因になることがあります。欧米ではペットにミニブタを飼う人の数も多いため、ミニ豚用に作られているミニブタフードが色々な企業から販売されていますが、日本でまだ少なくどこでも購入できるというわけではないようです。ミニブタの餌は豚肉用のブタに比べると高たんぱく低カロリーという特徴がありますが、家庭で使いやすく保存しやすいペレット状のドライフードタイプが多いようです。また、含まれる食物繊維の量が少なく不足しがちなため便秘になってしまうことがあります。ミニブタの便秘を防ぐためには、水を多く与えたり野菜などを別に与える必要があります。

餌の種類と特徴

豚の餌に使われるものには色々な種類があり、種類によってもそれぞれ特徴があり豚肉の質・味・香りなどに影響があります。ペットのミニブタの場合、肉質はかんけいないので、ここでは食肉用の豚の餌の種類と特徴をみてみましょう。

穀物を使った豚の餌

穀物類は豚が好む餌の一つで、消化の良いものが多くカロリーも高いことが特徴です。国内ではとうもろこしマイロなどが多く使われていますが、大麦・小麦・燕麦などの麦類も質の良い脂肪をつくるという効果があり、欧米をはじめ国内でも頻繁に利用されています。

かす類を使った豚の餌

大豆や菜種など油を絞った後のかすは、たんぱく質を多く含むものが多く、やわらかい脂肪を作る効果があるものがあります。また、醤油や豆腐などを製造する際にできるしょうゆかす・とうふかすなども少量ずつ餌に加えて与えます。醤油カスは塩分を多く含むことや香りなどが豚の嗜好性にあわずあまり好んで食べることがないので、一般的には豆腐化すが多く使われています。また、りんごやみかん、ぶどうといったジュースなど飲み物の搾りかすを銘柄豚など、豚の差別化のために混ぜて与えることもあります。長期間混ぜると肉質がやわらかくなることかがあるといわれることもありますが、水分を多く含んでいるものはお腹を壊しやすくなることや保存性もよくないので、扱うのが難しいエサといえます。

ぬかを使った豚の餌

米ぬか・ふすま・麦のぬかは豚の餌として利用されることが多いものです。ふすまには特に食物繊維が多く含まれていることやたんぱく質が多いことが特徴ですが、甘い香りがするため豚も好んでよく食べます。そういったことからふすまは哺乳期の母豚に与えられる飼料として適しているといえます。また、麦のぬかは白い脂肪を作る効果があるため、肥育期に与えるときれいな脂肪のついた豚肉になりやすいといわれています。

芋類を使った豚の餌

いも類の中でも豚の餌として使われることで有名なのがサツマイモです。銘柄豚としても有名な鹿児島の黒豚は餌にサツマイモを多く利用しているため、豚肉に甘みが出るといわれています。豚はサツマイモの芋の部分のほかに茎も好んで食べますが、保存性は良くないのですりつぶして、ぬか類と混ぜ合わせて保存できる豚の餌として作る場合もあります。イモのほかに、カブやビートなど甘みのある根菜類も豚が好んで食べ、繊維質やでんぷん質の多い飼料として利用されています。

緑じを使った豚の餌

粗飼料として使われている、牧草・野草・野菜くずなどは食物繊維とともにビタミン・ミネラルを補給するのに適したエサといえます。特に育成期間に与えると肉質がよくなるといわれていますし、繁殖用の豚に与えると繁殖障害を防ぐ効果もあるようです。しかし、肥育期間の豚には、食物繊維が多すぎてしまうので不向きなエサといえます。


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